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利用者数の予測と運賃の設定

 さて運賃のほうだが、城北高速鉄道線は他の第3セクター系新線とは異なる立地条件にあり、東横線のような環状路線との連絡が多い都市間輸送型の路線である。したがって第三セクター鉄道では日本一安いつくばエクスプレスよりも安い運賃でもやっていけるものと思われる。城北高速鉄道から直通する東武とTXからの転移が見込めるからだ。仮に両線から2割程度の乗客が転移した場合、これだけでも1日16万人の利用者が見込める。東武の館林・栃木方面から乗る人はたいていは久喜・栗橋で湘南新宿ラインに乗り換えているが、館林・栃木から城北高速鉄道経由で新宿まで130`運転の快速を走らせれば、湘南新宿ライン乗り換えよりも15分速い。これによる転移も含めている。これにさらに都バス王40系統の利用者がそのまま転移した場合さらに2万人がプラスされる。さらにバスが鉄道に置き換わったことによる利用増もプラス(前述の署名運動では7万人が署名しているからこれが上乗せされるものとする)、王40系統もカバーしていなかった足立区北東部地域(保木間駅予定地周辺)からの利用もプラスされる。これだけではない。城北、東武、TX各線と連絡する路線からの転移が考えられる。例えば越谷レイクタウンから新宿に行く場合、現行の武蔵野×埼京ルートの場合45分かかるが、武蔵野×(東武+城北)の場合は30分で着く。急ぐ人は必ず後者のルートを使うだろう。ということである。
 対象となる路線は次のとおりである。


≪城北高速鉄道線との連絡≫(次のページの図も参照)
西武新宿線、西武池袋線、東武東上線、都営三田線、東京メトロ南北線
埼玉高速鉄道線、日暮里舎人ライナー、東武大師線
東武伊勢崎線(西新井〜北千住間)

≪つくばエクスプレス線との連絡≫
武蔵野線、東武野田線、関東鉄道常総線

≪東武線との連絡≫
武蔵野線、東武野田線、両毛線、東武宇都宮線




城北高速鉄道と直通乗り入れする東武伊勢崎線及びつくばエクスプレスの路線図


 これをすべて考慮すると相当な人数、利用することが予想出来るだろう。
 この路線は簡単なマーケティング情報だけで計算した数字だが30万人/日は乗るものと思われる。評判が良ければその分+αされるだろう。運賃は次のようにするのが望ましいだろう。

新宿から主な駅までの運賃

初乗り150円  池袋150円  西巣鴨180円  王子210円  江北270円
大師前300円  竹の塚350円 保木間400円  八潮450円

 上記の運賃で想定される主な区間の運賃・所要時間をまとめてみた。
@池袋→竹の塚       8分340円(25分短縮・130円安)
A高島平→新宿       28分390円(8分短縮・30円安)
B舎人公園→新宿      25分490円(15分短縮・+30円)
C北千住→新宿       25分510円(5分短縮・+160円)
D守谷→新宿        36分1,000円(20分短縮・10円安)
E越谷レイクタウン→新宿  30分660円(15分短縮・+40円)
F春日部→新宿       30分700円(25分短縮・50円安)
G館林→新宿        70分1,130円(15分短縮・90円安)
H栃木→新宿        76分1,210円(15分短縮・140円安)

経済効果

 みなさんが身近に感じられる例を挙げてみた。竹の塚に住む高校生になったつもりでどうぞ。
 「片道30分時間短縮したから、1時間多くバイトを入れた。時給は1,000円。交通費はなし。でも電車賃も1枚の切符で済むようになったから、(往復)260円浮いちゃった。さて、合計1,260円。週3回だから月当たり16,500円収入が増えた……
……新宿で見たあのキーボードはもうすぐにでも買える。電車で12分。乗り換えなし。これなら重くたって自分で持って帰れる。宅配便代も浮いちゃうね。」

■時間短縮効果滞在時間延長営業活動時間も延長増収消費の促進というわけだ。



4.問題点と解決策

 一番問題になるには建設費である。鉄道運輸機構によれば地下鉄を1キロ作るのには300億円かかるという。城北高速鉄道線の場合、幅が広めのトンネルを使用し、都心部も通ることから余裕を見てキロ当たり350億円かかるものとして計算すると7,000億円程度かかる。
 しかしこの路線の場合は予算面ではあまり心配することもない。都市鉄道利便増進法が適用されれば、鉄道会社には直接的な建設費の負担はないからである。そのかわり施設は鉄道運輸機構が建設・保有し、運営会社は出た利益は全額線路使用料として鉄道運輸機構に払わなければならない。(鉄道運輸機構はこの使用料収入でたてかえていた建設費を取り返す。)しかしそれでも他の東葉高速鉄道なんかと比べるとずいぶん楽である。
 またこの路線は前述の通り立地条件がかなりいいので、計画が決まったとたん沿線自治体や、さらには直通先の自治体からも期待の注目を集めることになるから、つくばエクスプレス以上に資本金を集めやすいだろう。TXもこのようなことから1,860億円(なんと日本の鉄道会社ではJR東日本についで第2位!)も集めているのだ。城北高速鉄道だってかなり集まるものと思われるので、さらに経営は追い風となることだろう。
 さて、予算がついたら今度は用地の問題が発生……しそうもない。というのもほとんどが地下区間、しかも道路の下に作るからである。たとえ民家にかぶったとしても地上権設定(土地は売ってもらうけど、家はそのまま残して、引き続き住むことができる制度)でなんとかなる。また王子〜大師前間の道路は比較的狭いものの、王子〜豊島5丁目間にある日産通りはすでに道路拡幅予定地が確保されているし(前ページの都バスの写真を参照)、豊島5丁目〜大師前間の道路についても、都市計画図には道路拡幅予定に記載はないが、狭くて危ない道路なので新線整備の際の都市計画変更の際に拡幅することにするのもいいだろう。したがって土地で困るとしても高架で建設した方が安上がりな保木間駅周辺のみである。こちらも地下で作っても悪くはないから用地買収ができなさそうなら地下に変更するだろう。
とにかくこの路線は非常に恵まれた路線なのである。しかも国はやろうと思えば新線の2本や3本すぐに作れるはずなのに…(現に今年発表された第二都営浅草線計画は2,009年着工を目指しているとか)

■もしもつくばエクスプレス線が複々線化することになったら・・・

 田園都市線並みに予想を上回る伸びが続くTXならありっちゃありな話だったり。 でも守谷あたりから線増したとして、八潮から先、都心区間内は厳しいんじゃないの?なんていうことを30年後、首都圏新都市鉄道の重役さんたちは頭を抱えて考えていることだろう。でも城北高速鉄道があれば、これをTX版「大井町線」として使えるのではなかろうか。混雑分散はできるし都心へのルートも増えて一石二鳥!ここは田園都市線の混雑対策に便乗してやってみてもいいんじゃないだろうか。



5.情報を募集します!

 どうも!今回この記事を書かせていただきました北村です。突然ですが情報を募集します!今回何度か登場した「地下鉄池袋・王子……なんだっけ?名前長いから忘れちゃいました(汗)
 コピペで失礼します(実はこの名前全部コピペで表示しました)


「地下鉄竹ノ塚・王子・池袋線建設促進期成同盟会」


 あー…そうそうこれこれ。(失礼しました)
 この期成同盟会、実は私は接触したことがありません。事務所は池袋にあるらしいのですが池袋にある雑居ビルを一軒一軒調べるのは正直困難な話でございます。(池袋に住んでいながらこのざまです)なぜコンタクトが取れないのかといえばそもそもこの会のホームページがないこと、豊島区役所に行って聞いても「所在不明」であることなどにより活動の実態も全くわからない「謎の組織」なのです!でもすぐにでもこの人たちに会って話を聞きたい!そんなわけでこの記事を読んだ皆さま、少しでも何かご存知であれば下記の連絡先までご一報ください!よろしくお願いします!


連絡先


 ついでによかったら記事の感想も送ってください!!

 次のページに想定時刻表を載せています。



あとがき

 この記事は実は私が日大に入る際にAO入試で使ったプレゼンテーションの「ネタ」です。
 高3のときに友人からこの路線の話を聞いて、それ以来釘づけになってあちこち調べました。
 足立区役所の土木部に電話をかけて取材したのですが、質問をちゃんとまとめていなかったので土木部の方に電話で怒られたりもしちゃいました(笑)。そんなこんなで完成にこぎつけたわけです。
 私は昭和鉄道高校に当時はいて、クラスの担任がたまたま元東武鉄道運転手・指令官・総合職だったかたなのでこのプレゼンを披露してみました。うちの担任から出た言葉は・・・

「わたしが東武の社長だったらこの相談には乗らないね。確かに速くはなるけど、でもそこまでしても東武の遅くてださくて遠回りというイメージは払しょくされないだろうね……。」


 えーーーーーーーーー!!!!元東武の本社の人がそんなこと言っちゃていいんすか―――!!

なんて正直思いました。でもこの担任のコメント、入試本番で社交の教授の皆様方に発表したら全員大爆笑でした。場を和ませれたからまあ……いっか。ていう感じですかね。
 そんなわけでいま私はここにいるわけです。鉄道愛好会に来てくれたら暖かく向かい入れたいと思います。ぜひ来てくださいね。


取材協力:東京都交通局,足立区
参考文献:国土交通省「都市鉄道利便増進法案」
川島令三 著「全国鉄道事情大研究 常磐編」「新説 全国未完成鉄道路線」
中央区民新聞 2007年1月1日の記事
参考事例:JR西日本(宝塚線速達性向上による三田市の住宅地発展)
東急電鉄(大井町線改良による田園都市線から都心へのルート選択肢拡大)









さらにあとがき・・・
 どうも、編集後記にも登場しますが餌に釣られて思わずフライングしてしまいました、編集長です。
 この記事の編集中に文章をバァーっと読んでいた時、ある一言に思わず食いついてしまいました(笑)

「ここは田園都市線の混雑対策に便乗してやってみてもいいんじゃないだろうか。」

 是非とも、是非とも、是非とも(あわよくば今すぐ)建設してほしいです、城北高速!!!
 田園都市線は神奈川北東部を走っているのであまりこの名前に覚えがない方もおられるかと思いますが、正直言います。

田園都市には来るべからず。

 この一言です。
 関東の私鉄(もしかしたら全国の私鉄)でワーストの混雑率を誇るこの田園都市線。ある時は服やコートが破れたり、またある時はノートパソコンが電車の中でぶっ壊れたり、またまたある時は傘が当たったとかで喧嘩は起こるし・・・とここ10年で異常に発達しすぎている路線。最初に東西線から東葉高速鉄道に乗った時はあまりの空き具合にその運賃の高さも関連して、

 『あぁ、これじゃ儲かるはずはないわな(笑)』

って考えてしまうくらいでした。
 また一説では、ちょうど常磐線やつくばエクスプレスの沿線住民がその不便さに耐えかねて田園都市に移住しつつある、なんて聞いたこともあるもんですから城北高速鉄道は一刻も早く建設に着手してほしいです、ホントに。

 というわけで、田園都市線沿線住民のアポなしの感想文でした。


 
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